加齢臭の様な臭いの脂漏性皮膚炎
湿疹の一種である脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)は、加齢臭と似ている脂っぽい臭いがしますから、「頭から加齢臭の臭いが!」と思っていても「実は脂漏性皮膚炎が原因で臭っていた」という場合があります。
特に加齢臭がしない年齢で「自分から加齢臭の臭いが!」と思っている人は、脂漏性皮膚炎である可能性が十分にあります。
脂漏性皮膚炎は、加齢臭と同じように皮脂腺の分泌が多い部分に起きやすい疾患です。
症状が現れやすい場所は、主に頭皮や顔、胸などですが、その中でも頭皮の皮脂腺の数は顔に存在する皮脂腺の2倍から3倍ともいわれるほど多く、頭皮に症状が現れる頻度が高くなります。
さらに頭皮には毛穴が多く存在しており、その大きさも顔などの毛穴より大きく、頭皮で発生した皮脂やフケがどうしても詰まりやすい場所です。皮脂・フケ・汗など、いかにも臭いがしそうな様々な物質が混ざり合い、臭いを発生させる原因になります。
毎日シャンプーをしていても痒みがあったりフケも多いし、どうも臭いがしているという場合には、頭皮の脂漏性皮膚炎である可能性を疑う必要があります。ただし、詳細は後述しますが洗い過ぎると皮脂が増え過ぎ脂漏性皮膚炎の原因になります。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の原因になるのは、マラセチア菌、または癜風菌(でんぷうきん)とも呼ばれるカビの一種です。カビの一種とひとくくりにされますが、マラセチアには5つの種類があります。このマラセチア菌は誰の肌にもいる常在菌で、食料である皮脂や汗の増加が原因で増殖してしまいます。
常在菌という言葉から分かるように存在自体が問題なのではなく、他の菌とのバランスが崩れて異常に増えた場合に肌に悪影響を及ぼします。バランスが取れている状態であれば、悪い働きだけではなく肌を弱酸性に保つよい働きをする菌です。
マラセチア菌が増える原因
マラセチアにとって住みやすい環境である皮脂が増加する原因を抑えないと、痒みや臭いの原因になります。増殖する原因は形は違えど、ほとんど加齢臭の原因と重複するものです。
季節の影響
マラセチア菌はカビの一種ですから高温多湿の季節に増えやすくなります。同時に夏季は汗をかきやすい季節でもあります。汗も増殖の原因のひとつになりますので、梅雨の時期から真夏にかけては一年で最も注意すべき季節です。
動物性脂肪の取り過ぎ
加齢臭の原因と同じく、肉類を中心とした動物性脂肪の取り過ぎは皮脂の分泌を促し臭いを助長します。皮脂はマラセチア菌の餌となり、菌の排泄物は臭いの原因になります。カロリーの高い食べ物も皮脂を増やす原因になります。
遺伝子と体質によるもの
筆者も脂漏性皮膚炎を経験したのですが、その他ドライスキンであったり湿疹が起きやすいなど様々な意味で肌が弱く、筆者の場合遺伝した体質の影響が大きいと思います。脂漏性皮膚炎では、皮脂の分泌が活発な体質が遺伝していることになります。
頭皮の間違ったケア
皮脂が原因になるのなら「頭皮の脂をしっかりと取ってやる!」と、脂分を落とす作用が強いシャンプーを使いたくなるかもしれません。ゴシゴシと必要以上に力を込めて洗うと、確かに洗った直後は脂分が落とせます。
しかし頭皮も皮膚の一部です。刺激が強過ぎると頭皮を痛める原因になり、常在菌のバランスを崩してしまいます。体と同じで必要以上に力を入れて洗わなくても十分に皮脂も汚れも落とせます。
極端にいえばシャンプーを使って髪や頭皮を洗うのは、3日に1度でも十分です。後の2日間は湯洗といわれるお湯だけで洗う方法で汚れや皮脂は落とせます。これは頭部だけでなく体も同様です。
シャンプーの後は時間を置かずしっかり乾かしておくことも重要です。湿度が高い状態が続くとマラセチア菌の増殖につながり、清潔にしたつもりが逆に脂漏性皮膚炎をさらにひどくしてしまう可能性があります。
毛髪と接触するものが清潔ではない
帽子にしても枕にしても毛髪、頭皮への影響があるものを清潔に保つ必要があります。枕や枕カバーなどは洗濯するものするという意識があります。でも、ヘアブラシや帽子を清潔にするとはあまり考えません。
帽子を洗いたい場合、洗濯表示をチェックし桶のマークに×が付いていないことを確認しましょう。もし洗えない帽子の場合は、市販されている除菌スプレーを使いましょう。帽子によっては専用のスプレーが販売されているものもあります。
筆者も経験した脂漏性皮膚炎
筆者は頭の痒みやフケの多さは以前から経験していましたが、脂漏性皮膚炎が加齢臭と同じ様な臭いを発していたのかどうか、自分では判断できませんでした。
夏ではなく春に頭皮だけではなく耳にも脂漏性皮膚炎の症状が出てしまい、この時はさすがに皮膚科に駆け込みました。飲み薬と塗り薬を二種類もらって症状は改善しましたが、その後の対策を行っていなければ再発していたのかもしれません。
脂漏性皮膚炎の対策としても加齢臭の対策としても、この時を境にして同時に行っているのがシャンプーを変えました。皮膚科でも推奨することがある「コラージュフルフル」というシャンプーに変えてから数日で劇的に改善しました。
フケの量も平均並みといっていいのか気にならない程度に少なくなりました。痒みを感じることは、全くといっていいほどありません。耳にまで及んだ脂漏性皮膚炎も、その後は一度も再発していません。
筆者の体験では、「コラージュフルフル」はすごくおすすめすることができるシャンプーです。ただ、やはりひとりひとり体質も違えば症状も全く同じではないのですから、誰にでも効果があるとは言い切れません。実際に某有名サイトのレビューを覗いてみると、全く効果がないという方が少数いらっしゃいます。
しかし、対策といってもシャンプーを変えてみるだけです。脂漏性皮膚炎の方はもちろん、フケが多くて困るという方も試してみる価値は十二分にあります。
もちろん痒みがひどかったり皮膚の状態がひどい場合には、それ以上悪化しないうちに皮膚科を訪ね専門家の意見と治療法に頼ることを最優先してください。