汚れと臭いの元は皮脂
衣類に付着する加齢臭の臭いは落ち辛いものです。この理由は加齢臭の原因になるのが肌から分泌された皮脂が酸化によって作られるノネナールという物質であり、洗濯しても皮脂はなかなか落ちにくい性質があるためです。
そう、ワイシャツでよく見るあの黄ばんだ襟首の汚れも皮脂汚れですから、加齢臭の臭い(汚れ)も簡単に落ちないということは容易に想像できます。また、皮脂には体の垢や空気中のホコリ、排気ガスなどを吸着してしまうという、とても困った性質があり、臭いを余計に増長してしまいます。
とはいえ皮脂自体は人間に必要なものです。皮脂汚れは洗濯しても落ち辛い、嫌な臭いの元になってしまうと聞けば悪者以外の何者でもありませんが、皮膚の表面に皮脂膜を作り、肌を保護するという大切な役目がある物質でもあります。
しかし、衣類に付着する皮脂は余計なものでしかありませんので、しっかりと汚れも臭いも落とせる洗濯を行いましょう。
洗剤による差は少ない
コマーシャルなどの影響なのか、よく落ちる洗剤はコレといった認識がそれぞれの人で違ったり、液体洗剤より粉末の方が洗浄力が高いなどという話もあります。でもクリーニングの専門家にいわせると、市販されている洗剤の能力には大きな差はなく、クリーニングを生業にしているからといって特別な洗剤を使っているわけでもないそうです。
温度が高くなればなるほど洗浄力も高くなります。皮脂の汚れなどは特に高温が有効です。クリーニング屋さんに依頼してしつこい汚れも落ちるのは、50℃以上などの高温で洗っているためです。
一般の家庭とクリーニング屋さんの最大の違いは、洗濯する時の水温の差です。高温になればなるほど汚れがよく落ちるとはいっても、色落ちの原因になったり繊維にダメージを与えたりしますから、自宅で高温で洗う場合には火傷を含め要注意です。もし高温で洗う時には服に付いているタグの温度を事前に確認が必要です。30と書いてあれば30℃以下で洗わなくてはなりません。
一般の家庭でクリーニングのプロと同じ条件で行うことは無理ですから、これに近い状態にするために、お風呂の残り湯を使い、つけおき洗いを行う方法があります。手間がかかりますが、特に臭いがひどいものや汚れがひどいものは手洗いを行いましょう。
元々市販されている洗剤は水道水の温度で汚れが落ちるように設計されていますが、温度を上げて洗濯するのと水道水そのままの温度、特に冬場はかなり結果が違ってきます。
洗濯機も考えよう
日本の洗濯機は水道水の温度そのままで洗濯するのが一般的ですが、欧米では温水機能付きの洗濯機が一般的なようです。なぜこの差があるのか不思議ですけど、毎日下着を着替えないという昔の文化から汚れをとことん落とす必要があったという影響がそのまま続いているみたいです。
日本製でも60℃など高温設定ができる洗濯機も販売されていますから、加齢臭の臭いを衣服から除去するために、買い替えの時にチョイスのひとつとして考えるのも有効な手段だと思います。
また、汚れ落ちはもちろんのこと、オゾン消臭など脱臭を考えた洗濯機も開発され販売されています。(もちろん加齢臭専用ではありませんが)これらの消臭機能は、水で汚れを落として脱臭するというわけではなく、空気で洗う洗濯機で、消臭だけでなく除菌も可能です。
加齢臭の臭いをなくすため、というだけで洗濯機を買い換えるのはちょっと無理ですから、次回洗濯機を購入する時には、消臭効果もある洗濯機も選択肢のひとつにピックアップしましょう。